キャットウォーク

私がこの家に来てから飼い主が作ってくれたものに、このキャットウォークが有る。
私が来る前に亡くなった先住猫さんには必要の無い物だったそうな。

この部屋の隅には高さ1.4ｍキャットタワーがあり、そこから部屋のドアを挟んで反対側の隅に高さ1.8ｍのクローゼットがある。距離は1.4ｍほど離れている。
このクローゼットの上はなかなか快適で、冬などは暖かい空気が天井付近にたまるためここで寝ることが多い。

この高低差40ｃｍ、距離1.4ｍの間を先住さんは一気にジャンプして移動していた。
だが、生後２ヵ月半でこの家にやって来た私にはその力はなく、中間にあるドアが開いた時にドアに飛び乗ってから行き来していた。

ドアが開いていないときには1.8ｍを、まるで崖から滑落するようにして、小さな体の私が降りていたのを見て、危険を感じた飼い主がバイパス通路として日曜大工で作ってくれた。

飼い主はこのキャットウォークの幅をワザと狭く作った。必要以上の快適さというものは、人も猫も堕落させると飼い主は感じている。だから、いつかはこのキャットウォークは取り外されるかもしれない。

たぶん、もうそろそろ自力で飛び移れそうな気が私もしている。

私がお婆さんになって、再びこれを必要とするようになったら、その時はまた付けておくれよぉぉ。